【児童発達支援・放課後等デイ】受給者証はどうやって取るの?

障害児通所支援を利用するために必要な通所受給者証。「取得するにはどこに行ったらいいの?」「申請に必要なものはある?」など疑問がある方もいるでしょう。提出が必要な書類などについても分かると、準備がスムーズに進められるかもしれません。ここでは、受給者証を取得する手順などについて紹介します。


障害児通所支援の受給者証とは?

児童発達支援や放課後等デイサービスなどの「障害児通所支援」を利用するために、お住まいの市区町村から交付される証明書を通所受給者証といいます。

通所受給者証にはサービス種別、利用する子どもと保護者の住所、氏名、生年月日、サービスの種類、支給量(利用可能日数)、負担上限月額などが記載されます。この受給者証を取得することで、利用料の9割が自治体によって負担され、1割の自己負担でサービスを利用できます。

福祉サービス利用のための証明書を広く「受給者証」というため、「障害児入所支援受給者証」や「自立支援医療受給者証」などさまざまな受給者証がありますが、ここでは、児童発達支援や放課後等デイサービスなどを利用する際に必要な通所受給者証について紹介します。

受給者証があるとできること

通所受給者証があることで、児童福祉法に基づいて運営されている障害児通所支援事業者等のサービスを利用することができるようになります。

具体的な障害児通所支援とその対象をご紹介します。

・児童発達支援: 未就学の児童が対象。日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練その他必要な支援を行う。

・放課後等デイサービス: 6〜18歳の障害児(場合によっては20歳まで)を対象に、生活能力を向上させるために必要な訓練、社会との交流の促進その 他必要な支援を行う。

ほかにも、児童発達支援と治療を行う「医療型児童発達支援」、居宅を訪問し、日常生活の基本的な動作指導などを行う「居宅訪問型児童発達支援」、障害児以外の児童との集団生活へ適応するための専門的な支援などを目的とした「保育所等訪問支援」があります。

利用者負担

受給者証があると、原則、利用料の9割が自治体から負担され、1割の自己負担でサービスを利用できます。(施設によっては、別途おやつ代などの実費負担が発生することがあります)

また、利用者の負担が大きくなりすぎないよう、利用者負担額に上限が設けられています。ひと月あたりに利用したサービスの量にかかわらず、利用者の世帯ごとの所得に応じて次のように設定されています。

・生活保護世帯・住民税非課税世帯…無料。
・市町村民税課税世帯で所得割額が28万円未満の世帯…負担上限月額4,600円
・市町村民税課税世帯で所得割額が28万円以上の世帯…負担上限月額37,200円

上限額の決定には申請が必要なので、申請時に用意する書類について、お住まいの市区町村にご確認ください。

参考:

「障害児通所給付費に係る通所給付決定事務等について」厚生労働省|  公益社団法人 日本精精神科病院協会

受給者証が申請できる対象は

児童福祉法で、対象とされている障害種別は主に次の通りです。

・身体に障害のある児童
・知的障害のある児童
・精神に障害のある児童(発達障害児を含む)
・障害者総合支援法の対象なる難病の児童

また、上記に当てはまらなくても、医師などから療育の必要性が認められた児童については、専門家の意見書があれば受給者証を申請できます。必ずしも医学的診断名や障害者手帳・療育手帳が必要というわけはないのです。

出典:

「障害者総合支援法」の対象となる疾病を359に拡大します | 厚生労働省

受給者証の申請に必要なもの

申請に必要な主な資料は次の通りです。ただし、利用を希望する障害児通所支援の種類や自治体によっても違う場合があるので、お住まいの市区町村にご確認ください。

◻︎支給申請書…役所の担当課窓口でもらえたり、自治体ホームページでダウンロードできるところもあります
◻︎マイナンバーを確認できる書類…申請者(保護者)と子どもの両方が必要です
◻︎発達に支援が必要だとわかるもの…療育手帳、障害者手帳、診断書、もしくは医師や臨床心理士等の意見書など
◻︎ 負担上限金額の申請に必要な書類(生活保護受給証明書や市民税非課税世帯証明書など)、課税や収入状況に関する書類(新しい市区町村に転入して申請する場合)
◻︎障害児支援利用計画案…相談支援事業所へ依頼するか、保護者や支援者が作成するセルフプランも可能です。
◻︎印鑑

受給者証の申請に必要なステップ

市区町村や利用を希望するサービスの種類によってもさまざまですが、申請から支給決定まで約2週間、もしくは1~2ヶ月かかるとしている自治体もあります。

それでは、実際に受給者証を申請・取得しサービスを開始するまでの流れをご紹介します。

申請前にやっておくこと

施設の見学

見学や相談は受給者証がなくても可能です。あらかじめ、利用したい施設を探しておき、空き状況の確認や利用に向けた相談をしておくと、その後の手続きや契約もスムーズかもしれません。

実際に、事前に施設への見学や相談を行ってから受給者証の申請をするよう呼びかけている自治体もあります。

施設の探し方にはどんな方法がある?

気になる施設を見学しよう!申し込み方法や見学のポイントなどをチェック

障害児通所支援の利用相談

お住まいの市区町村の担当課、または指定特定相談支援事業所へ相談してください。利用したい福祉サービスを決めます。

支給申請

申請書をはじめ、各種手帳や医師などの意見書、身元が確認できる書類などをそろえ、市区町村に申請します。

申請時に必要な書類の一つに障害児支援利用計画案があります。障害児支援利用計画案は相談支援事業所で利用計画案の作成してもらえます。または、セルフプランとして保護者や支援者が利用計画案を作成することも可能です。自治体によってはホームページからフォーマットをダウンロードすることもできます。

障害児支援利用計画って?作成の依頼先やセルフプランも紹介

通所支給の要否決定

市区町村の担当者と直接面接し、利用条件を満たしているか、希望する利用頻度など聴き取り調査があります。

提出された利用計画案や申請書、面接で得た情報などから、支給の要否や支給量などが決定されます。

決定通知書・通所支援受給者証の発行

通所支給の決定通知書、支給量、通所給付決定を行った障害児通所支援の種類、通所給付決定の有効期間などが記載された受給者証が発行されます。

通所給付決定はどうやって決まる?

支給申請を受けた市区町村は、面接などの際に、主に次のような事項を参考に支給の要否や支給量を決定しています。

・児童の障害の種類や程度、その他の心身の状態
・介護を行う人の状況
・児童や保護者の利用に関する意向の具体的内容
・保健医療サービス、福祉サービス等の利用状況 など

支給量について

障害児通所支援を利用できる1ヶ月あたりの日数のことを支給量と言います。

支給量は、「児童発達支援」「放課後等デイサービス」「医療型児童発達支援」「居宅訪問型児童発達支援」「保育所等訪問支援」と、障害児通所支援の種類ごとに月の利用日数が定められます。

例えば、児童発達支援と保育所等訪問支援を一緒に申請するなど、市区町村が必要と認める場合には、複数のサービスを組み合わせることも可能です。

その場合は、複数のサービスを合わせた上で、適切とされる支給量が設定されることになります。

受給者証が手元に届いたら、施設と契約へ

受給者証と、受給者証の支給量などを踏まえて作成した障害児支援利用計画がそろうと、施設と契約することができるようになります。利用を決めた施設へ連絡し、契約に向けた手続きを進めましょう。


障害児支援利用計画って?作成の依頼先やセルフプランも紹介

契約についてはこちら。

施設と利用契約するときの流れ

受給者証の更新

受給者証の有効期間は最長1年間です。サービスの利用を継続したい場合は、期間終了前に更新手続きが必要になります。

受給者証の更新手続き

市区町村によって時期に違いはありますが、受給者証の有効期間が終了する約1~2ヶ月前に、更新に必要な申請書などが送られてきます。

継続して障害児通所支援を利用する際には、改めて申請が必要です。支給決定までの流れは、最初の申請時とほとんど同じです。自治体からお知らせが来たら、なるべく早く手続きをしましょう。

申請を行う際には、すでに交付されている受給者証と申請書など必要な書類を持って、市区町村の担当窓口で手続きしてください。


【児童発達支援・放課後等デイ】施設と利用契約するときの流れ

児童発達支援や放課後等デイサービスなどの障害児通所支援を利用するとき、施設の契約ではどんなやり取りがあるのか、わからないこともあるのではないでしょうか。契約までの流れ、契約時に必要なものなどを紹介します。


児童発達支援・放課後等デイの契約までの流れ

児童発達支援や放課後等デイサービスなどの障害児通所支援は、通所受給者証と障害児通所支援利用計画が揃うと、施設との契約を進めることができます。手続きは保護者が行うことになります。

すでに手元に受給者証がある人と、まだ持っていない人では手順が異なるので、確認してみましょう。

受給者証がある人の場合

利用を希望する施設に利用契約について問い合わせます。契約する予定の施設で見学や教室の体験などをしながら、施設と契約の手続きを行いましょう。

受給者証がない人の場合

まずは、自治体の担当課や障害児相談支援事業所で利用相談をし、児童発達支援や放課後等デイサービスといった障害児通所支援のうちから利用する通所支援のサービスを決め、施設を探します。

利用を希望している施設が絞られている場合は、施設に定員の空きがあるかなどを問い合わせてから、受給者証の手続きを行いましょう。

受給者証はどうやってとるの?

必要なものが準備できたら、施設に行って契約へ

施設と契約をするために必要なものが揃ったら、保護者から施設に連絡をとって契約の手続きを行いましょう。

  •  ・受給者証
  •  ・障害児支援利用計画
  •  ・印鑑
  •  ・療育手帳などの障害者手帳(ある場合)

事前に記入して提出が必要な書類がある場合もあるので、詳しくは契約する施設にお問い合わせください。

施設と契約する手続きの内容

施設との契約では、施設が提供しているサービスの内容や災害時など非常時の対応といった重要事項の説明があります。また、親子に面談を行い、支援目標などを確認していくこともあります。契約にかかわる手続きには、大体、1、2時間ほどかかるとしている施設が多いようです。

契約当日の流れの例を紹介します。

  1.  1.利用契約と、契約に基づく重要事項説明を行います
  2.  2.アセスメント用紙、与薬・医療的処置依頼書などへ記入します
  3.  3.アセスメント用紙の内容から、親子それぞれに面談を行い支援目標設定などを確認します

細かな流れは施設ごとに異なります。把握しておきたい場合は、事前に施設に契約の流れについて確認してみてください。

契約時に目を通すことになる利用契約や重要事項説明書には、主に次のような内容が記載されています。施設によって、項目に違いがあることもありますが、施設のことを理解し納得した上で契約するために参考にしてみてください。

重要事項説明書

「重要事項説明書」は、社会福祉法などに基づき、施設が提供するサービスの内容や全体の概要、緊急時の対応などについて、契約を締結する前に知っておいてほしいことを施設が利用者側に説明するものです。

利用契約書

「利用契約書」は、保護者と施設の間で利用の契約を締結するためのものです。主に契約期間や利用するサービス内容、利用者負担額・実費負担額などが記載されています。内容を確認して問題なければサインをします。

複数契約する際の手順の例

受給者証にある供給量の範囲内で複数の施設と利用契約することができます。利用可能な曜日の兼ね合いや療育の内容を充実させたいなど、さまざまな理由で複数の施設を利用するケースもあるでしょう。

すでに施設を利用している人が、新たに別の施設と併用する場合の契約までの流れの例をご紹介します。

  1. 1.新たに利用を希望する施設を探します。
  2. 2.利用したい施設が見つかったら見学・体験などを行います。
  3. 3.施設が決まったら、受給者証の申請時に契約した障害児相談支援事業所で、障害児支援利用計画の変更を依頼します。
    ※障害児相談支援事業所を利用していない場合は、お住まいの市区町村で、利用できる障害児相談支援事業所についてお問い合わせください。
  4. 4.新たな障害児支援利用計画が用意できたら、利用したい施設と契約手続きを行います。

利用者負担上限額管理の利用

複数の施設と利用契約する場合、月の利用負担(サービスの総費用1割のこと)の合計が世帯の負担上限月額を超えて支払うことにならないよう、施設間で利用者負担を調整する「上限管理」というサービスがあります。

どの施設に管理を依頼するかを保護者が選択し届けを出すと、上限額管理者が利用する施設を代表して請求額の調整を行ってくれます。契約時などに施設に上限管理について確認してみるといいでしょう。

上限管理者の届け出先は、お住まいの市区町村になります。「利用者負担上限額管理事務依頼届出書」に受給者証を添えて手続きしてください。管理者変更の手続きを行うことも可能です。

参考: 障害児通所給付費に係る通所給付決定事務等について

契約後、いよいよ施設の利用開始

利用契約完了後、利用開始日から個別支援計画に沿ったサービスを利用できます。

児童発達支援利用ガイド

放課後等デイサービス利用ガイド

【児童発達支援・放課後等デイ】気になる施設を見学しよう!申し込み方法や見学のポイントなどをチェック

通いたい施設を見つけたらすぐ契約を申し込んでいい?― ― 児童発達支援や放課後等デイサービスの施設の利用を始める前に、まずは見学や教室の体験に行ってみましょう。ホームページや口コミの情報だけではわからない実際の様子を確かめながら、子どもに合う環境なのか、スタッフの対応などもみておくと安心です。見学の問い合わせもできる発達ナビの便利な施設情報ページの活用法から、見学時にチェックしておきたいポイントまで解説します。


児童発達支援・放課後等デイの施設は利用前に見学を

児童発達支援・放課後等デイサービス事業所の多くは、無料で見学を受け付けています。利用したい通所支援のサービスが決まったら、お住まいの地域にある施設を探し見学を申し込みましょう。

施設によって支援プログラムや方針などの特徴、雰囲気もさまざまです。見学することでホームページなどの情報だけではわからない、実際の雰囲気やスタッフの様子、子どもとの相性などを確かめることができます。できれば、いくつかの施設に足を運んでみることをおすすめします。

その際は、お子さんもぜひ一緒に連れていきましょう。子ども本人が、安心して過ごすことができるか確かめることも重要です。

体験利用ができる児童発達支援・放課後等デイも

実際のプログラムを体験する機会を提供している施設もあります。見学時に保護者とスタッフが面談している間に、子どもがプログラムを体験するところもありますが、別の日程でじっくりと体験の時間をとることが可能な場合もあり、施設によって方法はさまざまです。

見学の申込時に、体験利用についても聞いてみると良いでしょう。

子どもが施設の過ごし方を実際に体験してみることで、「スタッフやお友だちと楽しめているか」「安心して通えそうか」といった様子を確認できます。

児童発達支援・放課後等デイに見学を申し込む方法

施設に見学を申し込む方法には、電話やWEB、メールで予約する方法があります。発達ナビからも施設に問い合わせることが可能です。それぞれの方法やメリットなどを紹介します。

LITALICO発達ナビ「施設情報」から予約する

発達ナビの「施設情報」ページでは、全国各地の施設情報を掲載しており、WEBからの見学予約や電話でのお問い合わせが可能な施設もあります。

個別に施設情報を調べたり、連絡先を探したりする必要がありません。「空き確認・見学予約」のボタンから施設への問い合わせや、電話ができます。

また、気になった施設はクリップして保存しておけます。候補としておいた施設を後から見返すことができます。

いくつかまとめてWEBお問い合わせすることも可能です。気軽に活用してみてください。

個別に施設に連絡する場合

施設の連絡先を調べ、自分で個別に連絡する方法もあります。

市区町村の窓口で施設の情報がもらえる場合もあります。施設ごとのホームページにある連絡先を調べて申し込むこともできます。

・電話
電話対応からスタッフの雰囲気を伺うことができるかもしれません。

・WEBやメール
ホームページに見学予約のメールフォームや問い合わせ先が掲載されている場合もあります。

問い合わせ・申し込みの方法が指定されている場合は施設の方法に従って連絡してみましょう。

児童発達支援・放課後等デイの見学時のチェックポイント

施設を見学する時は、管理者や児童発達支援管理責任者などが案内することが多いようです。不安や疑問など、わからないことを確認できる機会ですので、積極的に聞きましょう。

ただ、「何をどう見たり聞いたりしたらいいのかわからない」という方もいるかもしれません。見学時に確認したいポイントをご紹介します。

見ておきたいこと

子どもと合いそうか: 実際に施設で過ごすのは子どもです。安心し、楽しんで通うことができそうかは大切です。

スタッフの対応や様子はどうか: どんなふうに子どもに接しているか、声かけなどの様子はどうか見ておくとよいでしょう。子どもの成長を見守るパートナーとして相談のしやすさも重要です。

ほかの子どもの様子はどうか: 曜日によって利用する子どもの年齢にばらつきがある可能性もあります。同世代の子どもがどんなふうに過ごしているかや子ども同士のやり取りをみてみたり、聞いてみると良いかもしれません。

施設の設備などはどうか: 感覚過敏のある子どもなどに配慮していたり、集中しやすい環境設定の工夫をしていたりする施設もあります。

聞いておくといいこと

いつから利用できるか: 施設の見学を受け付けていても、定員がいっぱいで利用契約ができない、ということもあります。今、利用できる状況なのか、いつから利用できるのか確認しましょう。

支援プログラム: 応用行動分析(ABA)、TEACCH、感覚統合療法、作業療法、音楽療法、運動療法など、支援プログラムはさまざまなタイプがあり、施設ごとに特色や強みがあったりします。また、遊びや行事などの余暇活動や子ども同士のコミュニケーションに力を入れているところもあります。子どもの課題や必要なサポートに合うかどうかも相談してみると良いでしょう。

イベント・行事: どれくらいの頻度でどんな活動を行っているのか。

費用: 給食費やおやつ代、教材などの実費負担分について。

欠席した場合の対応: 振替え利用が可能か、利用日時の変更等にどのように対応しているか。

チェックするとよいこと

通いやすいか: 送迎の有無や送迎の範囲など

支援方針: ご家庭の方針とあっているか(施設のホームページで見られるところもあります)

専門スタッフ: どんな資格を持ったスタッフがいるか、実務経験など

以上のチェックポイントを参考にしてみてください。すべての希望条件が当てはまる施設は、もしかしたら、なかなか見つけられないかもしれません。子どもやご家庭にとって何が大切かという優先順位を整理して、利用する施設を決めましょう。

児童発達支援・放課後等デイを見学したら

施設を見学して利用したい施設が決まったら、障害児支援利用計画案を作成します。市区町村の担当窓口で、指定障害児相談支援事業所を紹介してくれます。すぐに、相談支援事業所が見つからない場合は、セルフプランとして、家族や支援者が作成することもできます。

参考記事:

障害児支援利用計画って?作成の依頼先やセルフプランも紹介

施設の利用契約には受給者証が必要です。受給者証の申請を行い、施設との契約の準備を進めましょう。

受給者証はどうやってとるの?

【児童発達支援・放課後等デイ】施設の探し方にはどんな方法がある?

児童発達支援や放課後等デイサービスの利用を考えて、いざ施設を探そうというとき、どうやって探しますか?障害児通所支援を行う施設は、増加傾向にあります。事業内容も多様化する中で、どう探したらいいのか、どんな方法があるのかを知ることで、効率的に子どもに合う施設を探すことができるかもしれません。施設を探す方法からチェックしたいポイントなどご紹介します!


障害児通所支援の施設、どう探す?

児童発達支援や放課後等デイサービスなどの障害児通所支援の福祉サービスを利用するには、保護者が自分で通所できる施設を探して契約する必要があります。

厚生労働省の調査によると、障害児通所支援を行う施設は、年々増加しています。

全国にある施設の数は、児童発達支援事業で約6,000、放課後等デイサービス事業で約11,300でした。

施設数が増加し、事業内容も多様化していることから、どうやって施設を選んだら良いのか迷っている人も少なくないのではないでしょうか。また、せっかく調べてもいざ利用しようとすると施設の定員に空きがなく、通えないというケースもあるようです。

ここでは、児童発達支援や放課後等デイサービスの施設の情報を集める手段や流れについて紹介します。

出典:

社会福祉施設等調査の概況 | 厚生労働省

障害児通所支援の種類

障害児通所支援の福祉サービスは、目的や対象によって分かれています。

児童発達支援…障害のある未就学児が対象。日常生活の自立のための療育や学習支援、運動プログラムなどが行われます。療育手帳などの障害者手帳、また医学的診断名がなくても、専門家の意見書などを提出して必要性が認められれば、利用することができます。

放課後等デイサービス…障害のある就学児童(6〜18歳※場合によって20歳まで)が学校の授業終了後や長期休暇中に利用することができます。生活力向上のために専門的な療育を行う施設もあれば、パソコン教室や運動など、習い事に近い活動を行っている施設などもあります。療育手帳などの障害者手帳、また医学的診断名がなくても、専門家の意見書などを提出して必要性が認められれば、利用することができます。

他にも、上肢・下肢または体幹の機能に障害のある児童に児童発達支援を行う「医療型児童発達支援」、重度の障害等のため、外出することが困難な障害児を対象に居宅を訪問して発達支援をする「居宅訪問型児童発達支援」、保育所など集団生活の適応のための専門的な支援を行う「保育所等訪問支援」があります。

施設を利用するには?

施設を利用するためには、利用したい施設を見つけることから、利用に必要な事前の手続き、施設との契約まで保護者自身で行わなければいけません。

児童発達支援、放課後等デイサービスを行う施設を利用するためには、お住まいの市区町村で発行される「通所受給者証」が必要です。また、受給者証の申請に当たって「障害児支援利用計画案」も準備しましょう。保護者がセルフプランをつくることもできますが、障害児通所相談事業所や相談事業を行っている各施設で作成してもらえます。

参考:

【障害児通所・入所給付費】受給者証の取得方法、体験談まとめ

障害児通所支援の中で利用するサービスや対象について迷っていたり疑問があったりする方は、最初にお住まいの自治体に相談しましょう。

利用したいサービスの種類が決まったら、受給者証の申請をする前に、通いたい施設を探しておくとよいでしょう。

その際、定員に空きがあるか、療育の内容はどんなことを行っているかなどもあわせて確認しましょう。気になる施設を見つけたら、見学を申し込み、実際に施設に足を運んだり相談することで利用のイメージをつかむとよいでしょう。

子どもに合った施設を探すポイントは?

多くの施設の中から、子どもにあったところを選ぶために、利用する目的や条件について、保護者自身が整理して理解しておくのは大切です。基準として押さえておきたいポイントについて紹介します。

支援の内容は子どもに合っているか?

1.受講スタイル

・個別で受けるか、集団で受けるか
療育のプログラムにもよりますが、個別療育では、一人ひとりに合わせた支援を受けられます。また、集団では、子ども同士でコミュニケーションや集団のルールを学べます。

・親子一緒に受けるか、子どもだけで受けるか
親子の関わり方を学べたり、親がいることで安心して受講できたりすることを優先したいときは、親子一緒に通うことができるところが良いでしょう。子どもだけで受講するのは、子どもの自立心を養います。保護者にとっては、育児から離れる時間ができます。

2.療育のプログラム

学習支援、預かり支援、ソーシャルスキルトレーニングなど、施設ごとに力を入れているプログラムはさまざまなので事前にチェックしましょう。

通いやすいか

1. 曜日・日時
子どもと家族のスケジュールを考え、無理なく通えるかどうか考えます。土・日曜や長期休み中の対応なども確認しましょう。

2.場所
自宅や学校、駅からの距離も考慮して、無理なく通える距離の施設がおすすめです。

3.送迎の有無
学校・自宅から送り迎えを行ってくれる施設もあります。送迎の有無や範囲を確認してみましょう。

定員に空きがあるか

各施設には利用者の定員があるので、空きがないと契約できません。定員に空きがあるか、これから空く予定があるかどうかも確認すると良さそうです。

施設の雰囲気は?

1.施設のホームページを見る
具体的に気になる施設があれば、直接ホームページやSNSをチェックするのも一つの方法です。日々の活動の様子や最新情報が見られるかもしれません。

2.利用者の口コミ
直接聞くのもいいですが、身近に施設の利用者がいない場合、口コミが見られるサイトもあります。LITALICO発達ナビの施設情報ページにも「利用者の声」があるので、チェックしてみてください。

施設情報

以上のポイントを参考に、利用したい施設の候補を集めていきましょう。

利用する施設の候補を集める

施設について調べて、利用する候補を集めるには、次のような方法があります。

LITALICO発達ナビの「施設情報」から探す

LITALICO発達ナビでは、障害児通所施設などの情報を掲載しています。

現在地から探すこともできますし、都道府県・市区町村を選択すれば、児童発達支援・放課後等デイの施設一覧が表示されます。市区町村だけでなく、路線や駅から探すことも可能です。

さらに「受け入れ年齢」や「支援プログラム」、「在籍する専門スタッフ」「送迎有無」「土日祝営業」など詳細条件を選択して絞り込むことも可能です。

さまざまな条件から施設を探すことができるので、ぜひ活用してみてください。

都道府県から施設を探す

発達ナビのページでは、気になる施設を保存しておけるので、後から見直したいときにも便利です。

また、一部の施設では、電話やWEBから空き状況の確認や見学の予約も可能です。利用者の声、送迎有無、土日祝の営業、支援プログラム、スタッフの専門資格、日常の様子などがわかるブログなども公開されています。

施設の新着ブログをみる

LITALICO発達ナビのLINE@のトークから探す

LITALICO発達ナビのアカウントをLINEでお友だちに追加すると、児童発達支援施設・放課後等デイサービスの施設を検索できます。

トーク画面で、検索したい地域名や施設名を入力する方法と、位置情報から調べる方法もあります。気軽に検索できるので、一度試してみてはどうでしょう。

LITALICO発達ナビLINE@

市区町村の窓口で聞く

市区町村の福祉窓口・子育て支援窓口では、地域の施設リストや、情報を提供してくれることもあります。直接窓口に行けない場合も、市区町村のホームページで施設一覧が公開されているところもあります。

この場合、見ることができる情報は、サービスの種類や施設名、住所、電話・FAX番号と必要最低限の場合が多いようです。療育内容や雰囲気などを知るためには、保護者自身が個別にホームページを探したり、電話をかけたりすることになります。

インターネットで探す

インターネットで、「児童発達支援センター 地名」「放課後等デイサービス 地名」といったキーワードで、目的の福祉サービスを行っている地域の施設が検索できます。お住まいの地域と近隣の地域の中から、似た条件の施設を探すことができそうです。

ママ友の口コミ

すでに施設を利用している保護者に、地域にある施設や通っている施設を聞いてみるのもいいでしょう。

契約前に施設を見学しよう!

利用する候補となる施設が絞れてきたら、実際に見学に行ってみましょう。教室を体験できるところもあります。子どもと一緒に足を運んで、楽しく過ごせそうかなどを確かめて契約へと進めましょう。

見学についてはこちら。

気になる施設を見学しよう


【児童発達支援・放課後等デイ】障害児支援利用計画って?作成の依頼先やセルフプランも紹介

児童発達支援や放課後等デイサービスなどの障害児通所支援の利用で、利用・契約の際に受給者証とともに必要となるのが、「障害児支援利用計画」です。その前に、受給者証の申請時に「障害児利用計画案」として自治体に提出する必要があります。施設と契約するまでの流れの中で、いつ、どのように作成するといいのか、タイミングや依頼先などを紹介します。


障害児支援利用計画って?

「障害児支援利用計画」は、障害児通所支援を利用する児童に対して、課題や援助方針を踏まえ、適切なサービスの組み合わせを検討し作成される計画です。

この計画には、本人の解決したい課題、支援方針、必要なサービスの種類と量などが記載されます。

受給者証の申請時に、まずは必要な障害児通所支援の種類や内容を記載した「障害児支援利用計画案」が必要となります。受給者証の発行後、その内容を踏まえてより具体的な支援や施設の利用内容などもまとめた「障害児支援利用計画」がつくられます。

障害児支援利用計画作成と契約までの流れ

障害児支援利用計画案の作成が必要なのはどんなとき?

障害児支援利用計画案の作成が必要になる場面は3つほどあります。1度つくったら終わりではないので、確認しておきましょう。

・受給者証の新規申請
・受給者証の更新
・支給量の変更

受給者証を申請する前に、自治体の窓口で障害児支援利用計画を作成してくれる指定障害児相談支援事業者を紹介してもらったり、施設見学時に職員へ相談したりしてみると、スムーズにできるかもしれません。

受給者証はどうやって取るの?

障害児支援利用計画案を作成する方法

市区町村の指定障害児相談支援事業者に作成を依頼する方法と、保護者や支援者がつくるセルフプランがあります。

市区町村の指定障害児相談支援事業者に依頼して作成

お住まいの自治体に相談支援事業者を紹介してもらい、契約を交わして作成を依頼します。相談支援専門員が自宅を訪問してヒアリングしながら計画案をつくります。費用は、自治体が負担するため原則利用者の負担はありません。

セルフプランで作成

保護者や支援者が作成することもできます。市区町村ごとにフォーマットがあり、窓口で用紙をもらうか、ホームページでダウンロードできる場合もあります。用紙には、希望するサービスの内容や日数、利用する子どもの暮らしの課題、支援を通してどうなりたいか、といったことを記入します。

受給者証の更新などで再度作成が必要となったときは、引き続きセルフプランを作成するほか、指定障害児相談支援事業者へ作成を依頼することも可能です。利用中の施設が指定障害児相談支援を行っていたらそこで依頼したり、利用中の施設を通し、指定障害児相談支援を紹介してもらってもよいでしょう。

相談支援事業者とセルフプランでの障害児支援利用計画案の作成、何が違う?

障害児支援利用計画案を、相談支援事業者に依頼した場合とセルフプランで作成した場合、どちらでも受給者証の申請はできます。では、何か違いがあるのか、解説します。

指定障害児相談支援事業者が作成した場合

相談支援専門員が客観的な視点から、適切なサービスの組み合わせを提案します。1つの計画をもとに支援関係者が情報を共有し、一体的な支援を受けられるようになります。また、施設利用開始後に定期的に利用状況を検証するモニタリングを行い、必要な場合は計画の見直しもしてもらえます。

セルフプランで作成した場合

指定障害児相談支援事業者の数が限られていて、依頼する事業者がいないときなどに保護者や支援者がつくることがあります。この場合、施設利用開始後のモニタリングはありません。

障害児支援利用計画案を自治体に提出します。その内容などをもとに受給者証の要否が審査されます。

受給者証が取得できたら、受給者証にある支給量などを踏まえた「障害児支援利用計画」を作成します。相談事業者に作成を依頼している場合は、相談支援専門員が作成してくれます。障害児支援利用計画は保護者と自治体、施設で共有します。

障害児支援利用計画を作成し施設と契約へ

受給者証を取得したら、障害児支援利用計画案をもとに障害児支援利用計画を作成します。指定障害児相談支援事業者で作成してもらうか、セルフプランで作成します。障害児支援利用計画と受給者証が揃ったら、施設と契約することができます。施設へ連絡して、手続きを行いましょう。

施設と利用契約するときの流れ


アニマルセラピーができる放デイ・ 南房総白浜デイサポート 菜の花牧場

千葉県、南房総にある放課後等デイサービス「南房総白浜デイサポート 菜の花牧場」では、小学生から高校生までの障害がある子どもたちが、馬と触れ合ったり、乗馬をすることができます。子どもたちは、楽しみながら、身体的・心理的機能の向上をはかることができます。

 

ホースセラピーができる放課後等デイサービスをたずねて

南房総白浜デイサポート 菜の花牧場は、南房総の海をのぞむ高台にある

千葉県、南房総。青空が広がる気持ちのいいある日、太平洋を望む高台にある牧場では、障害のある子どもたちがホースセラピーを受けていました。放課後等デイサービス「菜の花牧場」では、小学生から高校生までの障害がある子どもたちが、マンツーマンで馬と触れ合ったり、乗馬をすることができます。

ホースセラピーは、馬との触れ合いや乗馬などを通して、障害がある人の身体的・心理的機能の向上をはかる、リハビリテーションの方法の一つです。ヨーロッパでは保険適用も認められています。

馬に乗るときにはバランスを取る必要があり、平衡感覚や筋力、股関節の柔軟性などが養われ、体幹も鍛えられます。また、馬具を装着する際には、指先をつかう練習にもなります。

また、餌やりやブラッシングなどを通して馬との距離感をつかんだり、指示を出す・ホメる・叱るなどのコミュニケーションを通して、感情表現が豊かになっていきます。いつもとは違う高い視野や、大きな馬を操れたという自信は、自己肯定感の向上にもつながります。

千葉・南房総にある「菜の花牧場」

インタビューに答える、所長の小谷さん

菜の花牧場は、2017年6月にオープンしました。地域活動にも熱心に取り組む、ラジオパーソナリティーのDJ KOUSAKUさんがオーナー。障害がある子どもたちがホースセラピーを受けられる場所を、房総の地にという思いで立ち上げたそうです。

20代の頃から乗馬クラブで馬とともに過ごしてきた所長の小谷さんは、その思いに惹かれ、北海道でホースセラピーを行う牧場での学びを経て、この牧場で働いています。

ここでは、1時間に1組が放課後等デイサービスの枠内でホースセラピーを受けることができます。10歳のメス馬のサクと、7歳のオス馬のエムシの2頭の道産子、そして3匹の犬が、小谷さんたちスタッフとともに、子どもたちを待っています。

楽しみながらさまざまな力を獲得できるホースセラピー

 高校2年生の女の子

ホースセラピーを行う高校生の女の子
Upload By 発達ナビ施設インタビュー

この日、午後いちばんに牧場を訪れたのは、特別支援学校高等部に通う女の子。ホースセラピーを毎週1回、1年間続けています。最初は馬との距離感が分からず、餌やりもこわごわしていたけれど、今は積極的に関われるようになりました。

到着したら、まずはスケジュールボードを見ながら、やることを確認します。そして、今日乗る馬を決めます。彼女が指名したのは「サク」でした。

「人気なのはサク。うまく指示出しができなくても、子どもたちの思いを汲み取って動いてくれるから。エムシは動き方もダイナミックだから、体幹トレーニングにはいいんだけど。どちらの馬に乗りたいかは、子どもたちが決めるの」と、所長の小谷さんが教えてくれました。

サクを外に出し、丁寧にブラッシングしてから鞍をつけます。鞍をつけるときには、金具を止めたり、細かな作業が必要です。

同行していたお母さまは、「ここでホースセラピーをするようになってから、手先が器用になりました。洋服の裾をズボンにきちんと入れるとかボタンを留めるといった、身だしなみを整えるのに必要な作業が自然と上手になった」と話します。

「馬に乗っているときの姿勢も見てください。すっと背筋が伸びるんです。馬に乗るようになってから、おしりもキュッと引き締まってきました。以前はつっぱりがちだった足も、やわらかく曲げられるようになってきています」とも。

通常の訓練ではモチベーションがあがりにくい課題も、乗馬という”楽しい”体験を通して行うことで、より長時間集中して取り組めるためかもしれません。

中学1年生の女の子

乗馬セラピーを受ける中学生の女の子

次にセラピーを受けにきたのは、ダウン症がある中学生の女の子。1時間のコマでマンツーマンでホースセラピーを受けられる菜の花牧場には週1回、預かり型で牧場の馬や犬と触れ合うこともできる療育室「なみあし」にも、週1回通っています。

人やモノとの距離感をはかることが以前からの課題だという彼女。「ボール遊びをしていても、うまくボールをキャッチすることも、よけることもできませんでした。今でも、引き馬するときは距離感が難しくドキドキしてしまうようですが、たくさん引き馬をして、距離感をつかんでいってほしい」とお母さま。

また、毎週1回、1時間のセラピーに集中して取り組んできたことで、徐々に体力がついてきたそう。学校でのマラソンなどでもしっかり走れるようになりました。

体力がついてきたことに加えて、お母さまが成長を感じているのが、心理面。それは、馬との触れ合い、スケジュールにそって最初から最後まできちんとセラピーに取り組むなかで育まれてきました。

「がまんづよくなりましたね。以前だったら気持ちがついてこなくて、途中でやめてしまったようなことも、頑張ってやり遂げようとしています。ルールを守る力もついてきました」

ホースセラピーの流れ

乗馬セラピーを通して、さまざまな力を身につけていくことができる

2人のセラピーの様子を取材する中でも、馬との触れ合いや乗馬を通して、さまざまな力が養われていることが感じられます。

菜の花牧場のホースセラピーでは、次のようなスケジュールでセラピーをすすめ、心身へのアプローチを行います。

■馬にあいさつ
■乗る馬を選ぶ
■えさやり
馬とのコミュニケーションをとり、距離感を学びます。怖い存在ではないことを理解します。
■馬房から出し、つなぐ
■お手入れ・ブラッシング
どこをブラッシングするか、いつまでやるのかなどの見通しや、馬の生態などを伝えながら、自分で考えてお世話をできるようになるようサポートします。
■鞍をつける
鞍をかけたり、金具をつけるなかで、手先の力も養います。
■引き馬
ロープをもって馬を引いて歩きます。馬がついてくること、自分の合図で馬が止まることなどを通し、安心感を感じられ、馬に乗る自信がつきます。また、馬場の中を歩くことも体幹強化につながります。
■馬に乗る
スタッフが2~3名ついて、馬に乗ります。乗りながら馬上体操、体をひねって柵に設置したパネルへのタッチ、輪投げなど、感覚統合を促す動きを行います。慣れてきたら速歩なども取り入れ、バランス感覚を養います。
■鞍を外す・お手入れ
一つひとつの行為の中に、育みたい力・狙いがあるのです。それを、楽しみながら、体いっぱいつかいながら獲得していける。ホースセラピーは子どもたちにとって、かけがえのない体験だと、改めて感じられます。

預かり型の「なみあし」も

預かり型の「なみあし」の部屋。子どもたちがビーチで拾ったシーグラスで作った作品も飾られている。

菜の花牧場は、1時間1コマでホースセラピーを行う「牧場」と、放課後預かり型の「なみあし」があります。1日あたり、合計10名が利用できます。「なみあし」は学校へのお迎えもあり、セラピーが入っていない時間には、「牧場」で馬たちに餌をやったり触れ合うことも。また、敷地内の畑での収穫などの機会もあるそうです。

将来の生活の豊かさにもつながる

乗馬は、セラピーを通して心と体を健やかに育めるという側面だけでなく、障害がある子どもたちが将来大人になったとき、生活にうるおいを与えてくれる趣味にもつながります。

「娘は、”次に乗馬するのはいつ?”と楽しみにしています。これからも、友達同士誘って出掛けたりするというのは難しいと思っています。将来の余暇としても、乗馬を続けていけたらと思っています」。

そう語ってくれたお母さまと、自信に満ちた顔で馬に乗る女の子を見ながら、心身を健やかに育み、「大好き、楽しい」と思える経験を、日常生活の中で無理せずできることの素晴らしさを感じました。

撮影/鈴木江実子

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キズもほつれもあなたの作品!「さをり織り」で子どもの個性が輝く放課後デイ・SAORI Hands

誰かに決められた「正解」を辿るのではなく、あなたの感性を自由に表現すれば、それがあなただけの「作品」になる。

キズやほつれを「模様」と捉えて自由な表現ができる「さをり織り」を活動の中心とする、大阪市都島区の工房「SAORI Hands」。ここでは、大人も子どもも、障害のある人もない人も、誰もが自由に感性のままに表現をすることができます。発達が気になる子ども向けの「放課後等デイサービス」も併設。その活動の魅力をご紹介します。

撮影: ナムフォト http://numphoto.com/

 

ここは、誰もが自分の「色」を織物の上で表現できる場所

砂場でお城をつくったり、絵の具や切り絵で夢の世界をつくろうとしたり…自分の内側から湧き上がる何かを表現しようと、夢中になった子ども時代のこと、覚えていますか。

誰に教わったり指図されたりするわけでもなく、ただ自由に、心のおもむくままに手を動かしていた時間。もう記憶にも残っていないかもしれないけれど、きっと誰しも経験したことがあるはず。

いつしか大人になり、知識や技術を身に着け、仕事をしたり、家事をしたり、周りの人たちとか変わったり…そうやってできることを増やしていった私たち。

だけど、「知っていること」が増え、周りの目を気にするあまりに、いつしか「正しさ」の枠に囚われてしまい、失敗を恐れて、自由に振る舞えなくなってしまうこともしばしば。

そして、子育てや教育の場面で、ついつい子どもの自分の「正しさ」を押し付けてしまったり…。

「子どもの個性を育もう」、「子どもの自由な感性を大事にしよう」
頭ではわかっていても、なかなかそうは振る舞えない。大人になればなるほど、余計なことを考えやすくなっている気がする…

そんな悩みやもどかしさから離れて、大人も子どもも、障害のある人もない人も、自由に、感性のままに表現することができる場所があったなら。そんな願いを叶えてくれるのが、今回の記事でご紹介する放課後等デイサービス「SAORI Hands(さをりハンズ) 」です。

大阪市都島区にある「さをり織り」の工房を訪ねました。

工房に入ると、部屋一帯に広がる織り機の数々。

壁一面には色とりどり、さまざまな素材の糸が並びます。

ワンピースやバッグ、小物など、廊下に並び、販売される作品の数々は、この工房の利用者さんが自らつくったもの。形も色も、ひとつとして同じものがない一点物。これらの作品は、どれも「さをり織り」という手法で織られています。

「さをり織り」による織物活動を中心とした工房である「さをりHands」は、一般の方が利用する教室を開く一方で、児童福祉法に基づく放課後等デイサービスも併設し、発達が気になる子どもや、障害のある子どもたちを受け入れています。

ここで営まれる「さをり織り」は、いったいどういった織物なのか。開設の経緯や、障害のある子どもも受け入れる放課後等デイサービスを運営する上での想いとは。

さをり織りの創始者、故・城みさをさんの息子さんである城英二さん、孫である城哲也さんにお話をお聞きました。

キズを模様と考えたら、織物の世界が広がった

城英二さん
「さをり織りは、私の母である故・城みさをが約50年前に創始した織りの手法です。

城みさをが、さをり織りを始める前の頃の織物の考え方というのは、とにかく一本の乱れもない、機械のように精緻な織物が良いとされていました。

織り機で織っている過程で、糸が飛んだりスキマができたりすることがあるのですが、そうなってしまうともう『キズモノ』といって、二束三文でしか売れなかったんですね。

でも、みさをはその考え方に疑問を覚えたんです。

キズを、キズではなく模様と考えたらどうだろうか。太さや感覚に幅を持たせれば、織る度にに違った個性が出るし、それが機械にできない手織りの良さなのではないだろうか、と。

それが『さをり織り』のはじまりです。当時の”当たり前”と真逆のアプローチをとったさをり織りは、だんだんと専門店などからも評価を得るようになりました。

以来みさをは、この自由な『さをり織り』の楽しさを伝えようと普及活動を続けてきました。この大阪の工房をはじめ、今では全国各地にさをりの輪が広がっています。

城哲也さん
「機械に負けないぐらい精密に、一本の乱れの無いものを目指すという考え方もひとつだと思うのですが、その域には長年修行をした一握りの職人しかたどり着けないですよね。一般の人はとてもじゃないけど敷居が高くて近寄れなくなってしまう。

でも、織物をはじめ、ものづくりってもっと気軽で自由なものでいいんじゃないかと思うんです。織り機にもっと気軽にさわって 織物の楽しさを味わってほしい。そんな思いでこの工房を運営しています」

城哲也さん(左)、城英二さん(右)

障害のある人を工房に受け入れて発見したこと

SAORI Handsで織られている織物は、どれも自由奔放で個性豊か。

織り手の感性を反映するかのように、ところどころに差し色が挟まれたり、異なる素材の糸を絡ませて凹凸がつくられたり…

時に真剣な顔で集中しながら、時に隣の人と談笑しながら、利用者さん一人ひとりが、気兼ねなく自由にこの場で過ごしている様子が伝わってきます。

城哲也さん
「たとえばお料理の世界でも、必ずしもレシピ通り作ることがが一番良いのかというと、そういう訳ではないと思うんですね。

レシピをちょっとアレンジしてスパイスを変えてみたり、レシピ通りやろうと思ったけど、途中で少し焦げちゃって、でもそれはそれで美味しかったり…。

織物も、一度も間違えないことが”正解”なのではなくて、一人ひとりの発想力や、試行錯誤する過程の楽しさを大事にしてほしいと思っています」

ひとつの”正解”を持たず、一人ひとりが楽しみながら試行錯誤をすることを大切にするさをり織り。この活動を、放課後等デイサービスという形で、発達が気になる子どもや、障害のある子どもも参加できるようにしたのは、どうような思いがあってのことなのでしょうか。

城哲也さん
「この工房に限らずですが、さをり織りの輪が段々と全国に広がっていくなかで、自然と障害のある人も利用者として混ざってくるようになったんです。

最初は、障害のある人が織物をやるということに対して、僕たちもどう受け入れて、どうサポートすればよいか、正直分からない状態でした。

ですが、いざ受け入れてみると、そういう人たちの方が、自分の世界を非常に素直に表現していることに気づいたんです。

たとえば年配のおばちゃんの利用者さんの傾向として、『これ、どうやったらいいんですか、先生!』と、やっぱり最初は私わたしに”正解”を教わろうとするんです。

非常に素直だったんですね。もうなんていうか、自分の世界というのが、バッと出たんですね。

でも、障害のある人の多くは、一度織り機の使い方を覚えたら、私たちに何も聞かずにいきなり自分の作品をどわーっとつくるんです。これには驚きました」

城英二さん
「これは面白い。障害のある人にもどんどん混ざってもらった方が、さをり織りの良さを一般の人たちにも啓発できると思って、一緒に混ぜこぜでやろう、となったんです。

それがそもそものスタートですね。今では全国の工房の大体8割以上は障害のある生徒さんを受け入れていると思います」

城哲也さん
「一般利用のコースでも、そのように障害の有無にかかわらず混ぜこぜで運営しているのですが、ここSAORI Handsでは放課後等デイサービスの枠組みも利用して教室を併設し、そちらに登録いただいた方は、児童福祉の枠組みで、低負担でご利用いただけるようになっています」

「作品づくり」を通して成長していく、発達が気になる子どもたち

実際にここでさをり織りを始めた子どもたちは、どのように過ごしているのでしょうか。

城哲也さん
「最初はみんな、まず好きなようにやってもらいます。落ち着きがなかったり、行動面に特性のあるお子さんの場合だと、最初は糸も絡まったりしてハチャメチャになるんですよ。

でもね、周りの大人に教えてもらったり、自分で何度かやっていくうちに、段々とそういう子も落ち着いてくるんですよね。なんとなくこの工房での自分の居場所も見つけて、織り機に向かっているときも、ハチャメチャにならず、落ち着いて作品づくりに没頭できるようになっていくんです。

一つでも、自分の作品が完成すると、大人か子どもかとか、障害があるかどうかではなく、作家として自分が認められる経験が持てるんですね。その認められたという感覚が、だんだんとその子を成長させていくんだと思います。

ときどきスランプ陥ったりもするし、気持ちが落ち着かないときもあるので、僕らスタッフがちょっと手を添えてアドバイスすることもあるんですが、基本的には教えないスタンスです。

その子自身が自分の作品とどう向き合っていくのか、自分の感情だったり、起伏とどう向き合っていくのか。じっくり焦らず見守っていると、自然とセルフコントロールもできるようになっていきます」

たった一つでも自分にとって納得のいく「作品」をつくり、周囲に認められる経験をする。それが、子どもにとっての足場となり、気持ちや行動が安定していく上での大事な”軸”となっているようです。

さをり織りを通して自分の感性を表現し、成長していく子どもたち。

子どもの発達が気になり、SAORI Handsにわが子を通わせる保護者の方に対して、「保護者さんたちも、自分自身の感性を大事にしてほしい」と城哲也さんはいいます。

城哲也さん
「これは僕の考えですが、保護者さんが自分自身のことを好きになってくれることが、お子さんの成長にも繋がると思っています。

障害のあるお子さんの保護者さんの中には、子どものためにつきっきりでがんばっておられる方も多いのですが、それでも保護者さんとお子さんは別人格です。

保護者さんは保護者さんで楽しんで、お子さんはお子さんで楽しんでほしい。それがお子さんにとっても、自分の世界を広げていくチャンスになるんです。

心配なこともあると思いますが、ここに連れてきたときはお子さんと少し離れて、自分の休憩時間を持ってもらったり、一般利用でさをり織りを保護者さんも体験してもらったり…自分の楽しさというのを大事にしてほしいと思います」

一人ひとりの素直な感性から生まれるさをり織りの多彩な作品。

ここSAORI Handsでは、「普通になること」や「正解を探すこと」のプレッシャーから解き放たれて、誰もが自由に作品づくりに打ち込むことができます。

発達が気になるお子さんも、学校とは違う自由な空間で、自分らしく安心して過ごすことができそうです。

併設の一般利用コースもあるため、同じ空間で世代や障害の有無を超えて多様な人たちが交わるのも魅力のひとつ。保護者の方も一緒にさをり織りを楽しめるのが良いですね。

大阪市都島区の放課後等デイサービス「SAORI Hands」。発達が気になるお子さんの通所施設を探している保護者の方も、一般利用でさをり織りを体験してみたいという方も、ぜひ気軽に訪ねてみてください。

撮影: ナムフォト

大阪市都島区の放課後等デイサービス一覧

医療的ケア児から発達障害児まで!児童発達支援・放課後等デイ「チャイルドケアハース」

愛知県名古屋市天白区にある、児童発達支援・放課後等デイサービス「チャイルドケアハース」は、「重度障害がある子どものための施設をつくってほしい」という保護者の切実な願いを知り、代表の松田さんが立ち上げた施設です。ここでは、医療的ケアが必要だったり、重度の心身障害がある子どもたちも安心して過ごすことができます。

 

どんな子も受け入れられる施設を。保護者のニーズにこたえ、2015年にオープン

障害がある子どもの中でも医療的ケアが必要だったり、知的・身体の重複障害がある場合、通える施設が少なく、生活の場が家と園や学校に限られがちです。子どもたちがさまざまな経験をする機会を得られにくいことに加え、保護者も常に子どものケアのために働くことができなかったり、家事や買い物などの日常生活にも困難を感じていることが少なくありません。

施設代表の松田さんは、そうした重度障害のある子どもの家族の状況を知り、2015年に重症心身障害児を受け入れるチャイルドケアハース、2016年に知的障害がある子どもを主に受け入れるラーニング、2017年10月にチャイルドケアハース2号店となるアカデミーをオープンさせました。(チャイルドケアハース、アカデミーは医療的ケア児対応施設です)

 

医療的ケア児にマンツーマンの支援を――「チャイルドケアハースアカデミー」での1日

医療的ケア児、重症身障害児の受け入れも行う「チャイルドケアハースアカデミー」での支援の様子

チャイルドケアハースアカデミーの建物に一歩足を踏み入れると、パステルカラーの壁や建具、壁面に描かれた空の絵が目に飛び込んできました。福祉施設だけれど、おしゃれなかわいいカフェのよう。子どもたちが過ごす空間が、より豊かなものとなるように――支援へのこだわりが、随所にちりばめられています。

ここでは、医療的ケアが必要な子ども、重度重複障害がある子どもたちが、指導員とマンツーマンでゆったりと過ごしていました。気管切開をしている子には看護師がつき、体勢を変えたり、吸引をしたりと細やかにケア。

定員は5名ですが、登録は35名。天白区にはほかに重症心身障害児や医療的ケア児を受け入れる施設があまりないことから、近隣の区からの利用者もいて、常に定員いっぱいだそうです。

家庭での負担の大きい医療的ケア児の入浴も可能。水遊びなどもマンツーマンで行い、手厚い。

訪れた日は夏の終わりの蒸し暑い日。1人ずつ水着になり、自宅ではなかなか難しいプール遊びも。指導員と1対1で、水の感触をゆっくりと楽しみます。

それぞれの子どものペースに合わせて過ごせるよう、無理のないプログラムが組まれています。休日はお昼ごはんをみんなで食べます。子どもに合わせて、ペーストにしたり、哺乳瓶を使ったりと、オーダーメイドの対応。

また、入浴施設もあるので、通所中にお風呂にも入れます。体力的な負担も大きい入浴介助を施設で行えることで、家族も子どもも生活の質を上げることができます。

当事者家族の「こうだったらいいな」に寄り添う姿勢が、そこここで感じられます。

 

重度障害のある子どもたちが過ごす「チャイルドケアハース」、元気いっぱいの子どもたちのもうひとつの家「ラーニング」

「チャイルドケアハース」では利用する子どもたちとスタッフが一緒にトランプやゲームなどを楽しんでいました

重度心身障害がある子どもたちを多く受け入れているのが「チャイルドケアハース」です。

この日は、大きなテーブルを囲み、小学生から高校生までがトランプに興じていました。高校生のお姉さんは、やさしく小学生をフォロー。児童発達支援と放課後等デイサービスが一緒になった多機能型だからこその、年齢を超えたやりとりが生まれます。

フロアで横になり、スタッフからケアを受ける女の子も。ほかの子どもたちのにぎやかな声を聴きながら、リラックスして過ごしています。

車いすを利用している男の子2人は、Wiiで対戦。仲良く車いすを並べ、ゲームに夢中です!1日利用の日は、1時間以内と決めてゲームを楽しむこともできるのだそう。「どんなゲームなの?」と声をかけると、ゲームの種類やどんな対戦をしているかなど嬉しそうに話してくれました。

幼児から高校生まで幅広い年齢の子どもたちが過ごす「チャイルドケアラーニング」

同じビルの2Fには、主に身体障害がない子どもたちが過ごす「ラーニング」が。こちらも、幼児から高校生までがアットホームな部屋で一緒に過ごしています。

この日は、「お部屋で虫とり大会」が催されていました!段ボール製のかわいい虫を、虫とり網でつかまえて、点数を競います。とれた虫の数をスコアボードに記入するときは、「5匹と6匹だね、合わせて何匹?」とさりげなく計算を促す指導員。高校生の男の子が、ゆっくりしっかり計算します。「11匹だね!」

「ぼくが先にやりたい!」と主張する小学生の男の子に、高校生がやさしく諭す場面も。年下の子と関わることで、年長の子どもたちの自己肯定感も自然と育まれるよう。「それがうちの施設の大きな特徴です」と代表の松田さん。

代表の松田さんに聞く、設立の背景と、これからの展望

施設代表の松田さん

施設の代表を務める松田さんは「うちの会社は、必要とされること、つくってほしい・やってほしい・困っている、と言われることだけをやっていきたい」と言います。

松田さんは、7年前から、高齢者向けのデイサービスを運営しています。その利用者の家族の「子どもにも重度障害があり、おばあちゃんと子どものW介護で働くこともできない。子ども向けの施設もつくってほしい」という願いが、チャイルドケアハース設立のきっかけ。そのころ、重度心身障害のある子どもが通える施設は、この地区にはなかったからです。

現在は、待機が多い「ラーニング」の2店舗目を準備中だそう。重度知的障害や多動性が強い子どもたちもストレスなく過ごせる、広々した施設を年度内にオープンさせる予定です。

 

はたらく人にも寄り添うから、ニーズに合わせた増設も可能に

施設職員の子どもを受け入れる企業主導型保育サービスも。スタッフは皆いきいきと働いています。

施設の「人を思う気持ち」は、従業員にも向けられています。子どものいるスタッフも無理なく働けるように、「アカデミー」のある建物には、企業主導型保育サービスも併設されています。10人の子どもたちが、9時から17時まで過ごしています。

保育士や看護師、児童指導員、PT・OT・STなどの専門性を持っている優秀なスタッフも、子育てとの両立がしやすいから無理なく働ける。だから、質の高いスタッフがそろいやすく、ニーズに合わせた施設の増設もできるのです。

「ここだけの常識の中で働いてほしくない」。外資系アパレル出身で、異業種から転身してきた松田さんは「社外研修には積極的に参加してほしい。そのあと押しはできる限りしたい」と、社員のスキルアップにも貪欲。スキルの高い、知見のあるスタッフが子どもたちの支援を担うことで、子どもたちにも保護者にもより満足してもらいたいと願うからです。

広い視野を持ち、常に「困っている人」の想いや願いに寄り添い、必要とされる支援をすぐに形にしていく。社会の中でも取り残され、孤独に頑張らざるを得なかった重度障害のある子どもと家族の、強い味方。「チャイルドケアハース」を訪れて、これからの福祉に新しい風を吹き込む、強くて優しいまなざしを感じることができました。

撮影/角野 杏早比(FINDFLaG) 取材/LITALICO発達ナビ編集部

運動療育をメインに、スタジオと屋外でオーダーメイドの支援を――「スタジオそら」

「晴れた空のような笑顔、その先にあるのは成長です」というコンセプトを掲げる「スタジオそら」。”運動”をベースにしつつ、それぞれの子どもが身につけたい力をオーダーメイドで支援しています。子どもと先生の1対1で行う「スタジオ療育」や、公園で思い切り体を動かし、楽しみながら先生や友達との関わりを学ぶ「あおぞら療育」などのプログラムが展開されています。個性や課題に合わせた、どの子も楽しく療育を受けられる環境を創造する「スタジオそら」。取材中も、満面の笑顔を浮かべる子どもたちに出会うことができました。

 

子どもたちが、生活の場や学校でより楽しく過ごせるように

熱い思いを持って日々の療育に取り組む指導員の皆さん

「スタジオそら 幡ヶ谷」は京王新線幡ヶ谷駅から歩いて6分ほどの閑静な住宅街のなかにあります。移転したばかりというスタジオは、すっきりと整理され、広々としています。

メインで行われているのは、子どもと先生1対1の「スタジオ療育」。子どもの課題や環境に合わせた手助けを行なっています。訪れた子どもたちが、思いっきり体を動かし、汗をかいて、笑い、晴れ晴れとした気持ちになって帰っていってほしい。その思いのもと、オーダーメイドの支援が行われています。

「スタジオそら」の大きな特色は、運動の設備・備品や絵カードなど一人ひとりに合わせた視覚教材が豊富に揃っていること。保護者からも、「体を動かしてほしい」「幼稚園や小学校での運動の基礎を身につけさせたい」という問い合わせも多く、運動をはじめ、さまざまなアプローチを通して、日々の生活がより豊かで楽しくなるような支援をしています。指導員の指示を聞いて動けるようになることは、園や学校などでの生活にも生きると考えています。

もちろん、運動に限らず、学習支援やSST、音楽療法など多彩なプログラムが用意されており、子どもたちが日々楽しみながら療育を受けています。

また、週末などを中心に行われているのが「あおぞら療育」です。近隣の公園などを利用し、五感を目一杯働かせて、思い切り体を動かすプログラム。「スタジオ療育」が個別で行われているのに対し、こちらは小集団活動がメインとなります。

「幼稚園や小学校の休み時間に、他の子どもと混じって遊べるように、遊びのルールやコミュニケーションを伝えたいと思っています。経験があれば、他のお友達との遊びに入っていけることもあるはずなので」と先生方。

「スタジオ療育」「あおぞら療育」を通して目指すのは、子どもたちが生活の場や学校で過ごす時間をより楽しめるようになること。そのための手助けをするのが「スタジオそら」の役割だそう。だからこそ、先生方にとって「家でもこんなことができようになりました」「学校の先生からこんなことができるって言われました」などの保護者からの報告が何より嬉しいと話してくれました。

 

思い切り体を動かしながら、お友達との関係も育む“あおぞら療育”

屋外では、体を動かし、楽しみながら、同年代の子ども達とのやり取りなどを学べるプログラムを行う

8月のとある土曜日。午前中に代々木公園で行われている集団療育プログラム「あおぞら療育」に同行。自然のなかでのびのびと活動すると、五感を目いっぱい働かせることができるのだそう。今回集まった4人の子どもたちは、元気いっぱいの子どもたち。まずは、「えいえいおー!」とみんなで声を上げて、公園の入り口付近から、公園内の活動場所まで走って向かいます。

「あおぞら療育」では、基本的に、子どもと同じ人数の指導員が配置されているそう。スタートの際も、元気に走っていく子、まだエンジンがかからずゆっくり進みたい子、それぞれのペースに寄り添いながら子どもたちの気持ちを盛り上げます。

この日のプログラムは、木陰での水鉄砲遊び。いろいろな場面や遊びを通して、子どもたち同士が交流することを目的としています。暑い日でしたが、一面の芝生と木々が生い茂る活動場所は、思いの外涼しく感じられます。

まずは、水鉄砲の使い方やルールの説明をする先生。わざと小さい声で話し、子どもたちを自分のまわりに集めるなど、コミュニケーションにも工夫があります。

活動のスタートに慎重になりがちな子どもには、ウォーミングアップとして「先に水にぬれる」機会を。この後押しで楽しそうにプログラムに参加できていました。こだわりをほぐすことができる自然な対応は、しっかりと日々子どもの様子を見ているからこそ。最初は少し乗り気でなかった子も、いつのまにか笑顔で水鉄砲を飛ばしていました。

プログラムは、まず一人で水鉄砲を飛ばすところから始まり、徐々にグループ活動に。最後は、二人一組のチームになって、一人は水鉄砲に水を入れる係、もう一人は、水鉄砲を飛ばす係になって、吊るされた紙に描かれたモンスターを倒しました。

子どもたちを積極的に褒める先生の様子が印象的でしたが、「大勢の前で褒められたい」「こそこそっと褒められたい」など、その子の性格によって褒め方も変えているのだそう。プログラムのスタート時には、駆け出す子、ゆっくり歩きたい子とばらばらでしたが、帰りは自分の前にいるお友達の肩に手を置き、電車ごっこをして保護者の方々が待つ場所へ向かいました。

印象的だったのは、子どもたちの満面の笑顔。それは子どもたち同士が関われるよう、集団活動を目的としたプログラムでありながら、先生方の子どもたち一人ひとりに対する細やかな配慮があるからこそ。最初は一人で水を触っているだけだったのが、プログラムの終わりには仲間と一緒にゲームを楽しんでいる子どもたち。1時間弱と決して長い時間ではありませんが、皆、少し成長したように見えました。

できないことは、アプローチを変えて再チャレンジ。一人ひとりに合わせた成長をサポート

スタジオでは、一人ひとりの特性や課題を踏まえたオーダーメイドのプログラムを行う

スタジオでの「スタジオ療育」の様子も取材しました。

「スタジオそら」では、子どもの発達を「言語コミュニケーション」「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「人間関係・社会性」の5領域にわけて細かく分析しています。各領域ごとに数値を出し、子どもの現状や課題を把握するアセスメントを取っているそう。それを元に個別支援計画を作成しています。

「スタジオ療育」は、その個別支援計画の内容に沿って進みます。前回できたことを踏まえ、少しずつレベルアップさせながらゴールを目指しているのです。

この日、「スタジオ療育」を受けていた子どもは3人。それぞれの子どもにマンツーマンで指導員が一人つき、加えて、全体を見渡しながら、補佐をしている指導員や児童発達支援管理責任者もいます。

プログラムの内容は、子どもによってそれぞれ。メインは、「立ちます」「座ります」「走ります」など、実際にその動きをしながら、言葉と動きを一致させたり、器具を使ってジャンプの練習をしたり、ボール投げなどの粗大運動です。集中力を保てるよう、そのあいだに文字の学習や微細運動を組み合わせています。

もちろん、全てのプログラムが円滑に進むわけではありません。子どもがつまずいた時には、アプローチや説明の仕方を変えてスムーズにできる方法を子どもと指導員が二人三脚で探ります。ジャンプの練習で、どうしてもうまく飛べなかった子が、これまで横に立って一緒に飛んで見せていた指導員が、前に立って両手を持ち、サポートの度合いを高めることで成功!必要に応じて臨機応変に調整しています。

プログラム終了後には、保護者の方に先生から詳細な振り返りが伝えられます。もちろん、できるようになったことも伝えますが、できなかったことも伝えます。そして、こうアプローチを変えたらできるようになったということも。それは、保護者の方にそのアプローチを家庭に持ち帰って、実践してもらうためだといいます。

「1mしか投げられなかったボールが4m飛ぶようになることなどは、とても嬉しいことです。でも、活動を通して指示を理解できるようになったり、自己肯定感が高まってチャレンジ意欲が増したり、数字では表れるのとは違うけれど、とても大切な成長もあります。スタジオそらでの活動を通してそういう成長を見ています」と先生方。その思いが子ども一人ひとりの成長を促しています。

 

子どもたちの晴れた空のような笑顔がさらに広がっていくように

年に数回コンサートを開催。どんな子も楽しめるよう工夫されている

今後、発達の遅れなどの障害のある子どもが漏れなく適切な療育を受けることができるよう、スタジオを増やしていきたい。それが「スタジオそら」全体の今後の展望だといいます。

その根底にあるのは“どんな子どもでも楽しく、幸せに生活を送ってもらいたい”という思い。それを実現させるため、スタジオや屋外での療育のほかにも、地域でのイベントを数多く開催しているのだそう。イベントを通して、発達障害とはなんなのか、発達障害の子どもとどんなふうに関わればいいのかなどを、子を持つ親や子どもと関わる学校の先生に対して伝えています。

そのほかにも、障害のあるなしに関わらず、子どもたちが自分らしく楽しめるコンサートイベントも開催。次回は10月13日(土)を予定しています。

日頃の療育ではもちろん、イベントなどを通しても、「スタジオそら」から子どもたちの晴れた空のような笑顔がひとつ、またひとつと大きく広がっています。

スタジオそらコンサート

絵本や手遊びを使って楽しくクラッシック・デビューできるコンサート。椅子席だけでなくマット席もあるので、リラックスして楽しむことができます。

日時:2018年10月13日(土)10:15〜11:15(10:00受付)
場所:三茶しゃれなあどホール(世田谷区太子堂2-16-7 5階)
出演:こっころ/昭和音楽大学卒のよしだかおる(オーボエとうた)・はしもとなつき(フルート)・いのうえまい(ピアノ)によるトリオ
対象:新生児~小学生(特に3~6歳程度)の子どもと保護者
料金:大人1,000円 小学生以下無料
▼申込・詳細は下記より▼

※クリックするとスタジオそらのページに遷移します

取材・文:秋定美帆
撮影:鈴木江実子

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放課後等デイから就労支援まで。地域に根付き、障害のある人の人生をずっと支援する「B’s」の取り組み

障害のある子を育てる保護者は「子どもの将来はどうなるのだろう」とか「いつまで一緒にいられるだろう」と将来への不安を感じることも少なくありません。でも、「わが子が成長してもきっとここで、親や地域の人たちとともに暮らしていける」と思える場所があったなら、どれだけ心が軽くなるでしょう。

そんな場所をたずねて、石川県白山市へ。放課後等デイサービスや就労継続支援、高齢者デイサービスなどさまざまな施設がひとつに集まり、そこに地域の人たちが集う「B’s」の取り組みを取材しました。

子どもからお年寄りまで、地域の人が集う「ごちゃまぜの場所」。その真ん中にいるのは…?

B’sの中にはさまざまな施設があり、子どもからお年寄りまで地域の人たちが集う場所となっています

石川県白山市に、お年寄りも子どもも、障害のある人もない人も、町のみんなが集うごちゃまぜの場所があります。そして、その場所の真ん中にいるのは、障害のある人たちやお年寄りです。

「社会の中で弱者と言われる障害者や高齢者。でも、彼らを弱者にしているのは周囲の環境の方なのでは?」
という考えから、彼らを真ん中に、だれもが行きかうごちゃまぜの拠点としてつくられたのが、佛子園が運営する「B’s」です。

もともとここには、旧学校の校舎を改造してつくられた、障害がある子どもの入所施設がありました。地域との交流もほとんどなかったその場所を、地域の人たちが訪れる賑やかな町の拠点に変えたのです。

B’sは、放課後等デイサービスをはじめ、就労継続支援や生活介護の事業所、介護サービスの事業所、ショートステイ、グループホーム、保育園、クリニックなど複数の施設から成り立っています。高齢者通向けデイサービスも同じ敷地内にある、共生型の福祉施設です。誰でも利用できる温泉や飲食店なども併設しています。

洒落た雰囲気の敷地に足を踏み入れると、大きな木の遊具が目に飛び込んできます。天気のいい日には、放課後等デイサービス・B’sこどもLaboに通う子やB’s保育園の園児、そして近所の子ども達が、木の遊具のある庭で混ざって遊ぶ姿が見られるといいます。

地域の人たちが来たいと思える仕掛けが、随所に

デイサービスや就労支援の事業所だけでなく、カフェやスポーツ施設、温泉、遊具の設置された庭も。地域の人たちが「来たいと思える場所」となる仕掛けが随所に

庭を囲むようにして、放課後等デイサービス、料理教室やカフェ、フラワーショップ、リハビリ機能も併せ持つ整形外科、保育園が並びます。

建物に入ると、天然温泉、手打ちそばやここで醸造するビールを楽しめるレストラン、カラオケ、全身マッサージを受けられるリラクゼーションまで。2Fには、最新の機器がそろうスポーツ施設や住民自治室、就労継続支援・生活介護の事業所、ショートステイができる場所もあります。

庭の遊具のひとつに、大きな滑り台があります。「滑り台は下から登っちゃいけないって叱られがちでしょ。ここは規則でがんじがらめにして叱ったりしたくない。だから、叱らなくてもいいように、滑っても登ってもいいような幅の広い滑り台をつくった」という、B’sを運営する佛子園代表の速水さん。

「地域の子ども達にも来てもらいたいから、お母さんたち向けに”日陰”も意識してつくったんですよ。子ども達を遊ばせながら、お母さんたちが日陰でおしゃべりができるでしょう」。そういう時間・空間が必要だと言う、速水さん。子ども達のそばにいる保護者のニーズもくみとり、しっかりと設計に反映する。地域の人たちが来たいと思える仕掛けを随所にちりばめています。

中核となるこの施設の周りには、障害のある人が暮らすグループホーム・B’s Homesも点在しています。

遊び場のような、たまり場のような、生活の場

地域の高齢者は入浴札を裏返すことで安否確認もできる仕組み。高齢者デイサービスの部屋で過ごす人は少なく、スポーツ施設や温泉を楽しんだり、施設内で仕事をしたり。住民自治室で地域活動について話し合う場面も
Upload By 発達ナビ施設インタビュー

「高齢者向けデイサービスの施設は、通常、安全管理のために死角がないようにつくるでしょう。でも、それじゃあお年寄りは端っこに座ります。人は、死角がないと落ち着かないもんです」。
B’sでは、その死角に椅子を配置し、人と人との会話が生まれるようにしています。
ごちゃまぜの、遊び場のような、たまり場のような、生活の場がつくりたいからーー。

温泉は、町民は無料。毎月2,300人ほどが入りにきます。地域の高齢者は、温泉に入るときに自分の名前の書いてある札をうらがえします。わざわざ家まで見守りにかずとも、温泉に入りに来てもらうことで、地域の高齢者の安否確認ができる仕組みです。もちろん、放課後等デイサービスに通う子ども達も自由に温泉に入れます。

B’sの中は、さまざまな人たちが行きかい、だれが事業所スタッフなのか、誰が放課後等デイサービスに通う子なのか、ふらりと訪れた地域の人なのかわからない、「ごちゃまぜ」の場所です。

「ぼくはね、ここで働いているんだ」就労支援で働く若者が、誇らしげに話しかけてきた

就労継続支援A・B型と生活介護も施設内に。作業所だけでなく、厨房やカフェ、保育園やスポーツ施設などから、地域清掃や配食など施設の外に出ての作業まで担う。一日の終わりには、仲間と飲んで語らう姿も

「ぼくはね、作業所で働いてるんだ。こどもLabo(放課後等デイサービス)の卒業生だよ」
住民自治室を見学していると、一人の若者が話しかけてきました。

学生時代から通いなれた放課後等デイサービスのある施設で、今は仕事をしている。仕事が終わったら、ふらりとデイサービスに顔を出して、高校生の利用者たちとおしゃべりを。「ここはぼくの居場所なんだ」という誇りが、充実した表情から感じられます。

B’sを支えるのは、障害のある人たちが働いたり訓練をしたりする、就労継続支援の事業所や生活介護の事業所です。

就労継続支援の作業スペースでの業務のみでなく、蕎麦屋の厨房やハンバーガーカフェの店員、保育補助、フラワーショップ、スポーツ施設のインストラクターや受付、パソコンでの事務作業や絵本・パンフ作成など、担う業務はさまざま。

他にも、地域清掃やホテルのベッドメイク、近隣の高齢者宅への配食など施設の外に出ての作業もあります。配食では、障害のあるスタッフも高齢者のもとに食事を届けます。

自分のペースを崩さず時間に追われない、障害のあるスタッフとの会話を心待ちにしている高齢者も多いそう。おかずを分け合って食べたり、おしゃべりすることを楽しみにしているといいます。

皆いきいきと活躍しています。一日の終わりには、ビールを飲みながら仲間と語らう姿も。

ここで働くスタッフは、自宅から通うほか、近隣にある12カ所のグループホームから通う人も多くいます。皆、施設に入所するのではなく、地域で暮らしています。

B’sでは、「人は、人の役に立っていると思うとき、幸せになれる」と考えています。だから、その人が望めば、やりたい役割を果たせるようにしています。自分が根づいている場所、必要とされている場所がしっかりとある。だから、ここで働く障害のある若者たちは、こんなにも誇らしげなのでしょう。

施設の中を自由に行き来する、放課後等デイの子ども達。この地域に、あたり前に暮らし続けられるように

天然木をふんだんに使ったぬくもりのある部屋で、子ども達は好きなことをして遊んでいます。友達同士でのおやつも楽しそう
Upload By 発達ナビ施設インタビュー

午後3時を過ぎると、放課後等デイサービス・B’s こどもLaboの部屋には、次々に子どもたちが。毎日約30人の子どもたちがやってきます。月間のべ1,000人ほどが利用しているそうです。

小学生は、元気に走りまわっています。そこに、就労支援での作業を終えたOBの面々が加わり、おしゃべりに花が咲く。青春しているなぁ!人生楽しんでるなぁ!と、見ているこちら側まで、晴れやかな気持ちでいっぱいになります。

子ども達は、広い施設内のどこで過ごしてもいい

放課後等デイサービスを利用する子どもたちは、B’sの中を自由に行き来できます。マッサージやスポーツ施設も無料で利用可能。スヌーズレンルームでリラックスしたり、職員と一緒に学校の勉強をする子達も

子ども達はこどもLaboの部屋で遊んでもいいし、庭や施設内で自由に遊んでもいい。温泉に入ったり、リラクゼーションでマッサージを受けるのもOK。

B’sでは、マッサージショップからテナント出店料を取らない分、福祉利用者が来店した場合には、無料でサービスを受けられるようにしているのです。最新の機器がそろうスポーツ施設の利用も、子どもであってももちろん可能です。

スヌーズレンルームもあり、光を楽しみながらゆったりと寝転んでいたい子どもは、ここで過ごすこともできます。

将来、どんなことをしたい?自分がやりたいことを自然に見つけていける

障害のある人たちが、施設内でたくさん活躍しています。作業所はもちろん、厨房、フラワーショップ、スポーツクラブなどなど。先輩たちの姿を見ることで、自然と「将来やりたいこと」を考えることもできそうです

同じ施設の中に、就労継続や生活介護の事業所があることで、将来の見通しもつきやすいといいます。作業場での仕事、厨房の仕事、スポーツ施設のインストラクター、フラワーショップ、配食、保育園のスタッフ、清掃…放課後等デイサービスに通う子どもたちは、自然とさまざまな役割を知り、自分のやりたいことを見つけてくことができます。

そしてまた、地域の子どもや大人と日々交わり、声を掛け合うことで「ここは自分の暮らす場所」であることを、しっかりと自分の中に根づかせることができるのです。

障害のある「ある一人の人生」に寄り添おうと思ったら、支援を区切ることなんてできない

B’sを運営する、社会福祉法人佛子園代表・速水健二さん。速水さんら職員の事務スペースは住民自治室の中にあり、垣根はない。地域の人、スタッフ、子どもたちが自由に話しかけられる環境をつくっている

B’sを運営する社会福祉法人佛子園では、石川県内各地に、障害者施設・高齢者施設の機能を合わせもった施設を運営しています。そもそも、どうして社会的弱者と言われる人たちの施設をまるごと担おうと考えるようになったのでしょう?そして、縦割りともいわれる法制度のもと、どうしたらそんなことができたのでしょう?

そう問うと、代表の速水さんは、少しきょとんとした表情を見せました。「障害のある”ある一人の人生”に寄り添おうと思ったら、子ども用、成人用、高齢者用、と支援を区切ることなんてできないでしょう?」

例えば、以前は、障害のある人の福祉をある年齢になったら高齢者用の福祉に切り替えなくてはいけなかった。障害者向け施設は高齢者向け施設として運営することはできなかったので、住み慣れた施設を離れて高齢者向け施設に移らなければいけない。でもそれは負担が大きい。だから、障害者も高齢者も支えられる施設をつくったーー。

こうして佛子園は、法律で障害者も高齢者も支援が可能となる「共生型の施設」が認められるより前から、さまざまな年齢の社会的弱者と言われる人たちのための施設を運営してきました。

「福祉の制度は、使いやすいようにある程度ゆるみをもっている。それを現場が保守的に解釈して、あれもこれもできないって思いこんでることが多い。例えば、以前は障害者福祉と高齢者福祉の職員室は仕切られていなきゃいけなかった。でも何で仕切るべきかは書いていない。だからうちは”ふすま”で仕切っていた」

今は、共生型が法律でも認められるようになり、施設のどの職員も、どの施設の利用者でも見守れるようになりました。スタッフは皆インカムをつけ、全員で見守りをしていると言います。

子ども達が撮影した、友達やスタッフ、就労支援に通うOBのいきいきした表情

自分が住む町の中に、だれもが安心でき、仲間と語り合うことができる場所があること。社会的に弱者と言われる人たちを弱者のままにしておかず、それぞれが役割を持ち、必要とされていると感じられること。

言葉にするととてもシンプルだけれど、人が自分らしく幸せに生きていくために何より必要で大切なことなのではないか。「B’s」の中をいきいきと行きかう人たちの姿を目の当たりにして、そう思わずにはいられませんでした。

撮影/吉田直哉(GARAN ASSOCIATES)、LITALICO発達ナビ編集部

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